独学者の手記

独学者のメモです。

社会主義覚書⑵ マルクスは平和主義者?

「若者よマルクスを読もうⅢ」で石川康宏先生は、マルクスが平和主義的革命家である証拠として、次のように記されています。

 

一八七八年にドイツ政府は「社会主義者取締法」という弾圧法を提案した時、社会主義者はいまは「平和的発展」を唱えているが、最後は強力で目標を達成しようとしていると主張しました。そのことを議事録で読んだマルクスは、これへの反論を次のようにノートに書きつけています。

「当面の目標は労働者の解放であり、そのことに内包される社会変革(変化)である。時の社会的権力者のがわからのいかなる強力的妨害も立ちはだからないかぎりにおいて、ある歴史的発展は『平和的』でありつづける。たとえば、イギリスや合衆国において、労働者が国会ないし議会で多数を占めれば、彼らは合法的な道で、その発展の障害になっている法律や制度を排除できるかも知れない。しかも社会的発展がそのことを必要とするかぎりだけでも。それにしても、旧態に利害関係をもつ者たちの反抗があれば、『平和的な』運動は『強力的な』ものに転換するかも知れない。その時彼らは(アメリカの内乱やフランスの革命のように)強力によって打倒される、『合法的』強力に対する反逆として」(「社会主義者取締法にかんする帝国議会討論の概要」1878年9月、『全集』34巻412頁)

 

ここでマルクスは、選挙をつうじて議会の多数を得ることで、国家権力の全体を手にする可能性が開けている国としてイギリスとアメリカを具体的にあげながら、革命の非平和的、強力的な局面は、労働者の側からではなく旧勢力の強力的な抵抗によって初めて引き起こされるものであることを指摘しています。(32~33頁)

 

 

なるほど、このようなマルクスの文言を読めば、マルクスはあたかも平和主義者であるかのように映ります。しかしながら、やはり私には疑問が残るのです。ではなぜマルクスは他のところでどうにも排他的としか言いようのない文章を認めているのか、と。そしてなぜマルクスの盟友たるエンゲルスは文字通り暴力革命を推進しているのか、と。