独学者の手記

独学者のメモです。

2022-01-01から1年間の記事一覧

政治哲学の断片的試み1-8

素人が政治哲学的妄想を繰り広げます。いろいろと不十分な点があります。「単なる無知者の覚書」としてご理解下さい。 1. 市民社会的価値には、それ自体で尊ぶべきものは他者への愛と自己実現(仏教風に言えば、自利と利他となるかしらん)であり、他の諸…

社会主義覚書(7) キリスト教とマルクス主義

一面において、マルクス主義はキリスト教(あるはユダヤ教)を換骨奪胎したものである、と言えるかもしれません。少なくともバートランド=ラッセルはそう考えていたようです。ラッセルの言葉を『西洋哲学史2』(市井三郎訳、みすず書房、359頁)から見てみ…

社会主義覚書(6) マルクスは平和革命論者か

『若者よマルクスを読もう』で石川康宏先生は次のように述べておられます。 …マルクスの革命論は、議会をつうじて労働者階級の権力をまず打ち立て、それを推進力として、労資関係を基本とした資本主義関係を転換していくという道筋になっています。つまり、…

思うこと(1)

「戦争は絶対反対」という呟きを見ました。戦争反対なのは戦争が悪だからでしょう。すると侵略側も悪ならば、それに抵抗する被侵略側も悪となります。いじめっ子が殴ってきたからいじめられっ子が応戦して、先生から「暴力は悪だからどちらも悪い」という喧…

中国メモ(1) 中国における食人肉の風習について

桑原隲蔵(くわばらじつぞう)[1870-1931]という東洋史学者がいます。東洋文庫には彼の『東洋文明史論』があります。そこには、中国の南部と北部のさまざまな違いに注目した「歴史上より観たる南北支那」、中国における食人肉の風習をさまざまな文献から詳細に…

社会主義覚書(5) マルクスの戦略的平和

マルクスは『共産党宣言』Ⅳで共産主義者について次のように述べます。 「かれらは、労働者階級の、直接に当面する諸目的と諸利益の達成のために闘争するが、しかしかれらは、現在の運動のなかで、同時に運動の未来を代表する。」〔『共産党宣言・共産主義の…

社会主義覚書⑷ 隠し得ぬマルクスの牙

マルクスは、かの『共産党宣言』において、プロレタリアートの一般的発展段階を詳述した後にこう言います。 「…こうしてわれわれは、それが爆発公然たる革命となり、プロレタリアートが強力によってブルジョアジーを転覆し、自己の支配をうちたてる、という…

社会主義覚書⑶ 絶滅と根絶と

私の手元には古びた岩波文庫の『ユダヤ人問題によせて/ヘーゲル法哲学批判序説』があります。訳者は城塚登となっています。この書には、マルクスの文字通り議論否定の姿勢が表れています。マルクスはこの『ヘーゲル法哲学批判』の「序説」において、ドイツ…

社会主義覚書⑵ マルクスは平和主義者?

「若者よマルクスを読もうⅢ」で石川康宏先生は、マルクスが平和主義的革命家である証拠として、次のように記されています。 一八七八年にドイツ政府は「社会主義者取締法」という弾圧法を提案した時、社会主義者はいまは「平和的発展」を唱えているが、最後…

社会主義覚書(1) マルクスの姿

「若者よマルクスを読もうⅠ~Ⅲ」を読んでいます。内田樹先生と石川康宏先生の往復書簡の形式をとったマルクス思想の入門書といった本です。このなかで、石川先生は繰り返し主張されているのは、マルクスは平和裏に革命を目指していた、とのご意見です。そし…