独学者の手記

独学者のメモです。

社会主義覚書⑷ 隠し得ぬマルクスの牙

マルクスは、かの『共産党宣言』において、プロレタリアートの一般的発展段階を詳述した後にこう言います。

 

「…こうしてわれわれは、それが爆発公然たる革命となり、プロレタリアートが強力によってブルジョアジーを転覆し、自己の支配をうちたてる、という点に達したのである。」

マルクス共産党宣言』水田洋訳、講談社学術文庫、29頁)

 

 

そして次のように結論づけます。

 

「…こうして、ブルジョアジーの足もとから、かれらが生産して生産物を取得するための基礎自体が、とりさられる。かれらは、なによりもまず、自分自身の墓堀人を生産する。かれらの没落とプロレタリアートの勝利は、ひとしく不可避的である。」(同、p.30)

 

仮にマルクスが平和的革命家であり、その教えを受けた労働者が資本家に話し掛けるとしたら、果たして以下のような調子になるではないでしょうか。

 

「俺たちが掘っているのは何かだって?アンタらの墓穴さ。アンタらが俺たちに負けて没落するのは決まっているからな。俺たちがアンタらを打ち負かして支配者となるんだからな。あ、でも俺たちとアンタらは飽くまでもダチだかんな?忘れんなよ?」

 

いやいや、こんなことを言われて誰が友情を信じるというのでしょうか。お前を倒して墓穴に埋めてやるよ、という相手がどうして助け合う友人でありえるのでしょうか。マルクスが平和的革命家である、との意見はどうにも頼りになりそうにないのです。